藍先輩の危険な溺愛レッスン。
「あの時の藍、凄く取り乱してたもんね」


「まあね」


ハハッて力無く笑う。


「あんな藍を見たのは初めてだったよ。本当に愛菜ちゃんのことが大切なんだね」


先輩はチラッと私を見て頭の後ろに手をやる。


「ああ、うん」


ボソッと返事をして俯いてしまった。


「本人の前でそんなこと言うなよ。恥ずかしいだろ」


そのまま背中を向けてしまう。


「俺、石井を呼んでくるから」


そう言って体育館の奥へササッと走っていってしまった。


遠ざかる背中を雪乃さんと2人で見ていた。


すると彼女と目があってプッて笑いあった。


「藍、焦ってたね」


「はい、ああいう照れてるとこを見るの珍しいです」


「藍はいつまでも子供っぽいとこがあるでしょ?」


「大人びてるのかと思ったら子供っぽいとこもあるので、私にはいまだに謎です」
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