藍先輩の危険な溺愛レッスン。
「嫌にならない。
何度逃げても追いかけるよ」


彼の誠実な熱っぽい声にドキドキするのに素直になれない。


「ウソ」


「俺はウソは嫌いだ」


「……」


一瞬の沈黙の後にまた彼が口をひらく。


「愛菜ちゃん、
俺だって本当は自信がない。
愛菜ちゃんに俺の全部を受け入れてもらえるかわからないから。
だけど、俺の答えはもう決まってるんだ」


彼の声が優しいだけじゃなくて強さを増していくような気がした。


「……」


「どんな君でも受け止めるつもりだから」


ようやく先輩の方を見た。


真剣な表情で大きく腕を広げて立っている。


私を待っている。


「信じて飛び込んでくれていいよ。あとは俺が全部引き受けるから」


おずおずと足を一歩前へ進め木の陰からようやく顔を出した。


目が合うと彼は小さく笑いかけてくれるけど、俯いてしまった。
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