藍先輩の危険な溺愛レッスン。
「どうして恋をしたら、こんなに苦しいんですか?」


両思いのはずなのに。


「それは誰だって同じだと思う。愛菜ちゃんが苦しいと俺も苦しい。
でも、手放してあげられない。
その代わり、何でも答えるから俺にぶつけてきて欲しい」


「でもまた喧嘩になるかもしれない」


「喧嘩になんてならないよ。
愛菜ちゃん、大丈夫だから早くこっちにおいで」


またもう一歩だけ近づいて、下を向く。


「先輩、もう……」


足が鉛みたいに重くて動きたくない。


この黒々とした気持ちを抱えたまま本当に彼の胸に飛び込んでもいいのか迷っていた。


だけど彼はそこから一歩も動かずに腕を広げたままで待っていてくれる。


まるで、私の方から心を開くのを待っているみたいだ。


「嫌いにならないで」


「なるわけないだろ」


その言葉に勇気づけられて。
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