藍先輩の危険な溺愛レッスン。
また一歩足を引きずるように前へ進んだら、花が開くように笑ってくれた。


「私も先輩と同い年に生まれたかったのに、そしたら」


「そうかな?出会えただけでも俺は奇跡だって思ってるよ」


また歩みを進めると、また彼と目が合った。


「こんな気持ち、先輩に知られたくない」


「どうして?俺は愛菜ちゃんのことなら何でも知りたいのに」


「でも……」


「教えて」


「……」


一歩ずつゆっくり歩み寄る。


あともう少し。


彼が長い腕をこちらへ伸ばす。


逃げたい気持ちも残っていたけど、やっぱり私はこの手を取りたかった。


傷ついても手放したくなかった。


「せんぱい」


「愛菜ちゃん」


ほうっと息を吐く彼。


広い胸に飛び込んだら、私の欲しかったすべてがあった。


結局、答えはここにしかないんだ。


心が緩やかに熱を帯びていく。
< 246 / 332 >

この作品をシェア

pagetop