藍先輩の危険な溺愛レッスン。
「いま凄く好きな子がいるから、もうその子のことしか考えられない」


熱っぽくそう言われて頭の芯が甘くぼやけた。


「それは私?」


「他にいるわけないだろ」


先輩の気持ちを聞いてほんの少し心が軽くなった。


彼の心の中に踏み込むようにしつこく質問をしてしまった。


でもちゃんと答えてくれた。


「もう我慢の限界だからキスしていい?」


本当はこの時、キスして欲しかったのは私の方。


胸の中が見透かされていたのかと思ってドキッとした。


コクッと頷くとすぐに頬に軽くキスが落とされた。


彼は私の涙を指先で拭きながら、おでこと瞼に唇を押しあてていく。


「どうしてそんなに器用なんですか?」


同時にいくつものことが出来るって、しかもこの状況で凄すぎる。


「そうかな?」


とぼける彼を小さく睨んだ。


「慣れてますよね」
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