藍先輩の危険な溺愛レッスン。
その時、私の右腕にかかっていた巾着袋に入っていたスマホが鳴った。


だけど先輩が離してくれなくて身動きできない。


呼び出し音がいつまでも止まらない。


すると先輩はようやく私を離してくれた。


「電話にでていいよ」


覇気のない声でそう言って彼はため息をつき壁にもたれた。


額に手をあてて、何か考えこんでいるみたい。


「はい」


今のキスで頭がフワフワとしていたのでゆっくりと電話に出た。


かすかに乱れていた息を整える。


まるで、まだ半分夢の中にいるような気分だ。


「はい、もしもし」


液晶画面を見ないでタップしたら意外な相手からだった。


「もしもし、俺、原だけど。今愛菜ちゃんの家の近くの駅まで来てるんだけど。
祭りに一緒に行かないかなと思ってさ」


クラスメイトの男子、原くん。


テンションの高い声だった。


「は?」

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