藍先輩の危険な溺愛レッスン。
寂しそうに笑うから胸の奥がギュッとなる。


「……」


彼はたぶん今自分でも混乱しているんだと思った。


そして苦しんでいるようにも見えた。


彼の手を強く握り返す。


「だ、大丈夫です。先輩、大丈夫、大丈夫だよ」


「……」


「なんでも思ってることを言ってください」


先輩はこのまえ私が嫉妬でおかしくなりそうで泣いた時、言ってくれた。


悲しくて、苦しくて、寂しい嫉妬の沼に沈んでしまった時に言ってくれたんだ。


自分にぶつけてくれていいよって。


なんでも、受け止めるよって。


だから、今度は私が。


「自分でも呆れてる。
こんなに誰かを好きになるなんて思わなかった。だから不安なんだ」


「う、うん」


彼が辛そうに眉を顰めるから、繋いでいない方の手で彼の肩から腕をさすった。


上から下へ何度も何度も優しく撫でてあげた。
< 280 / 332 >

この作品をシェア

pagetop