藍先輩の危険な溺愛レッスン。
権田さんが涙目になりながら尋ねてくる。


もう声が出せなくて首を振った。


権田さんが怖いから知らず知らず藍先輩に近づきすぎてしまっていた。


だけど、この場合ウソでも藍先輩を好きですって言ったほうがいいのかも。


そしたらすんなり諦めてくれるかもしれないし。


そう思って、一瞬悩んでいたら先輩が口を開いた。


「安心しなよ、権田くん。
愛菜ちゃんは、俺のことなんとも思ってないから」


「……」


「ね、愛菜ちゃん」


先輩は爽やかな笑顔を向ける。


先輩を好きな人ってウソをつこうかとズルいことを考えてしまったけど。


こう言われたらその計画は諦めるしかない。


でもだけど……。


「はい、でも」
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