藍先輩の危険な溺愛レッスン。
「雪乃さん」


藍先輩の横にぴったりとくっつくように歩いているのは雪乃さん。


今日は大人っぽい紺色の浴衣を着ていてメガネをかけていない。


髪はアップにしていてドキッとするほど綺麗だ。


やっぱり、美人だな。


普段とは違うそのなまめかしい姿に一瞬ハッとした。


きっと藍先輩もそう思っているんじゃないかな。


2人きりなのかな。


どうしよう、もう少し近づいて様子を見に行こうか。


それとも声をかけにいく?


そしたら私に遠慮して離れてくれるかな?


「佐倉さん、どうする?」


心配そうな杉本くんの視線とぶつかった。


「あの……心配だよね。やっぱ彼氏がほかの女の人と」


「うんでも……」


しょんぼりとうつむいた。


だけど、今はそれどころではない。


親友の瑠夏ちゃんが大変な時だもん。


今この瞬間にも瑠夏ちゃんは一人きりで泣いているかもしれない。
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