藍先輩の危険な溺愛レッスン。
それに、私がここに来ることを許してくれた藍先輩の気持ちを考えたら、雪乃さんと一緒だからって責めたりしたくない。


ここに来るときに私は彼に言ったんだ。


私のことを信じてくださいって。


だから私も彼のことを信じてあげないといけないよね。


「いいの、行こう杉本くん」


「でもいいの?」


「うん」


もう一度先輩の方を見たら混雑したところからなかなか抜け出せない様子だった。


よく見たら、雪乃さんが先輩の腕につかまるようにして歩いている。


ああ、見なきゃよかったな。


やっぱりたまらいよ。


本当は私の先輩に他の誰にも触れて欲しくない。


「混んでるから仕方がないんだよ。私は大丈夫だから行こう」


自分に言い聞かせるようにしてそう言った。


「そうか、そうだね」


まだ何か言いたそうな杉本くんの手を引いて神社の入り口へと向かって歩いた。
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