藍先輩の危険な溺愛レッスン。
藍先輩の方をなるべく見ないようにしながら。


今度もう一度でも彼らを見てしまったらきっと平静じゃいられなくなってしまうだろうから。


「佐倉さんって偉いね。彼氏のことをちゃんと信じてるんだね」


「あ、はは。まあ」


曖昧に笑う。そんなに褒められるほどでもないよ。


ほんとは胸の奥がキリキリしてる。


「あの先輩、背も高くてカッコいいなぁ」


杉本くんはまだ先輩達がいる方をチラチラ振り返って見ている。


「そうだね」


「モテるだろうね」


「そんなことより急ごう」


思いを断ち切るように、きっぱり言った。


「あ、うん。ごめん」


杉本くんとはぐれないように手を繋いだまま少し早足で神社を後にした。




駅まで行く道でも瑠夏ちゃんは見当たらなくてハラハラしながら、駅前までたどり着いた。
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