藍先輩の危険な溺愛レッスン。
スピードを上げて必死で走ったら河川敷へ降りる階段が見えた。


「藍先輩」


きっと彼はそこにいる。


「愛菜ちゃんっ」


やっぱり、もうはっきりと彼の声が聞こえる。


胸を弾ませながら声のする方へ走った。


階段の上までたどり着いて下を見たら藍先輩がこっちへあがってこようとしているところだった。


彼は1人みたいだ。


「先輩、先輩」


信じられないくらい嬉しくて階段を急いで駆け下りる。


「愛菜ちゃん」


階段の真ん中あたりまで上がってきてくれた先輩の顔がはっきりとわかる。


息を切らせていて汗だくだ。


もしかしたら、あちこち走り回っていたんだろうか。


どうして?


「先輩、あっ」


気持ちばかり焦って足が追いつかない。


「危ない」


慣れない下駄でよろけてしまう。


「キャッ」


変な体勢になって顔から転げ落ちそうになる。
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