藍先輩の危険な溺愛レッスン。
身体が宙に浮く。


うわ、落ちる……。


もう駄目だと思って目をつぶった。


ドサッと顔をぶつけたのは、コンクリートの硬さより何倍も柔らかい。


そして暖かいくていいにおいがする。


これはもしかしたら……。


「愛菜ちゃん大丈夫?」


「先輩」


目を開けたら大好きな人の心配そうな顔がある。


「よかった、なんとか間に合った。やばかった」


彼はハーッと大きく息を吐いた。


どうやら階段を転げ落ちそうになったところを助けてもらえたみたい。


下駄が脱げてひっくり返っている。足がじんじんしてちょっと痛い。


階段に座り込むような体勢の彼に抱きしめられていた。


「ありがとう」


「大丈夫?どこも痛くない?」


「うん、平気」


良かったと言って彼はニコッと笑った。


「せんぱい、せんぱい」
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