藍先輩の危険な溺愛レッスン。
私だって出来ることならそうなりたい。


「あっち行って」


瑠夏ちゃんの振り回す鞄は男子達に手で払われて廊下にたたきつけられた。


バサバサッと鞄の中身が飛び出してきた。


「や、やめて、やめて」


喉の奥から絞り出すように言ったけど全然届かない。


今の私には対抗できる力なんてない。


「もうやめて」


気がついたら瞳から涙がポロポロ溢れてきた。


結局、今の私には泣くことしかできない。


「あーあ、愛菜ちゃん泣いちゃった」


「泣き顔も可愛い」


「寺田がゴリラに変身したせいだからな」


3人はばつが悪そうに顔を見合わせる。


やりすぎたと思ったのかそそくさと教室の方へ走り去っていった。


自分たちがさんざんふざけてたくせに、人のせいにして最低。


「愛菜、愛菜、大丈夫?」


瑠夏ちゃんは心配そうに私を覗きこむ。


「うん、ごめんね瑠夏ちゃんごめんね」
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