藍先輩の危険な溺愛レッスン。

「どうして謝るの?こんなの全然平気。どうってことないよ」


「でもでも」


「あいつらいつか絶対シメてやる」


瑠夏ちゃんは勇ましくそう言って、私に対しては優しく笑ってくれる。


「ほら、愛菜泣かないの」


ヨシヨシと私の背中をさすってくれた。


本当になんて優しいんだろう。


ずっとそうなんだ。


中学の時も瑠夏ちゃんは、私のことを庇って損ばかりしていた。


本人は気にしなくてもいいよっていつも言ってくれるけど。


「おい、またかよ。お前ら大丈夫なのか?」


その時、教室から血相変えてこっちへ走ってきてくれた男子がいた。


「中島」
「中島くん」


私と瑠夏ちゃんはほぼ同時に彼の名前を呟いた。


少しほっとして涙をぬぐった。


私が泣いていたのは瑠夏ちゃんに申し訳なかったからだ。


でも中島くんが助けに来てくれたような気がして心強かった。


彼はいわば瑠夏ちゃんの唯一の味方の男子だから。


「中島、何でもないよ」
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