藍先輩の危険な溺愛レッスン。
「いいの?いつもいつもありがとうね」


母はぱっと顔を輝かせて先輩にお礼を言った。


ああ、また私のことなのになにかが勝手に決められてしまいそう。


夏、だからって楽しいことが一つも浮かばない。


ただ蒸し暑くってだるくて疲れるだけ。


別にどこにも出かけたくなんてないんだけど、母に行って来いって言われたら断れないかもしれないな。


だって、母はやたらと消極的な私のことを誰より心配しているみたいだから。


そんな私に彼はニコッと確信犯的な笑顔を見せる。


「じゃ、愛菜ちゃん今度の日曜日、海にいこっか」


「うぇっ?う、海ですか?」


絶対に行きたくない場所だ。


よりによってそんな場所を提案してくるなんて。


もうー、勘弁して欲しい。


先輩のことだから直接私を誘っても、絶対に乗ってこないってわかっていたのかもしれない。
< 94 / 332 >

この作品をシェア

pagetop