春、君に別れを告げた
スヒョンは中学一年生の頃、日本へやって来た。両親はもともと日本に出張に行くことが多く、日本語をスヒョンも一緒に勉強していたため、言葉に問題はなかった。しかし、スヒョンの胸には不安しかなかったのだ。

（僕は韓国人だし、悪口を言われたらどうしよう……）

テレビを見れば、韓国と日本は揉めているとニュースでよく目にしていた。そのため、韓国人である自分は差別されないかずっと不安だったのだ。しかし、そんな不安をかき消してくれたのが、同じクラスになった未来だった。

「ねえねえ、韓国から来たんでしょ？このアイドルグループ私、すごく好きなんだ！」

クラスメートの輪に入ることができず、俯いていたスヒョンに明るく未来は話しかけてくれた。その笑顔は、まるで一輪の美しい花のようで、スヒョンは見惚れてしまう。

それから、スヒョンは未来に心を許してよく話しかけるようになった。未来はスヒョンの話を楽しげに聞いてくれて、スヒョンの中で未来の存在は大きくなっていく。
< 3 / 10 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop