春、君に別れを告げた
夢の中にも未来が現れ、夢の中で手をつないだ時、スヒョンは未来を好きなのだと気付いた。それと同時に、未来を独り占めしたいという気持ちが生まれてしまう。

未来は優しい。だからこそ男女関係なく好かれていて、クラスの中心にいつもいる。スヒョンと関わる時間は少ないかもしれない。

スヒョンは未来の気を引くため、自分を見てもらうため、ある言葉を口癖のように言うようになった。

「寂しい」

そう悲しげに言うと、未来はいつだって「どうしたの?スヒョン」と優しく微笑んで声をかけてくれる。それが嬉しくて、スヒョンは何度も「寂しい」と口にして未来の時間をもらった。

未来から離れたくなかったスヒョンは、勉強を頑張って未来と同じ高校に進学した。そして部活も同じ写真部に入り、未来の隣になるべくいるようにした。未来が離れてしまいそうな時には、何度も「寂しい」という言葉でつなぎ止めた。

ずっと一緒にいるのだから、気持ちだって同じなのだとスヒョンはずっと思っていた。しかし、人の心を操ることなどできない。
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