春、君に別れを告げた
高校二年生の秋、忘れ物をしたスヒョンが教室に戻ると、未来が友達と恋バナをしているところだった。

「ねえねえ、未来って好きな人いるの?」

友達の質問に、スヒョンはドキッと胸を高鳴らせる。スヒョンだとあの唇で言われたらとても幸せだろう。しかし、未来が特別に想っているのは違う人だった。

「私、実は……幼なじみの大ちゃんが好きなの」

ガラガラと足元が崩れていく音がした。大ちゃん、と言うのはスヒョンと未来の隣のクラスにいる堀内大輝(ほりうちだいき)のことだ。同じ写真部に所属している。

未来が失恋しますように、そうスヒョンは何度も願った。しかし、二人は高校二年生のバレンタインから付き合い始めてしまったのだ。

「未来、寂しいよ」

未来の心を少しでも振り向かせようと、スヒョンは彼氏がいるとわかっていた未来に何度も口癖を言う。最低だとわかっていながら、スヒョンはやめることができなかった。

「スヒョン、大丈夫?」
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