春、君に別れを告げた
未来がそう言い、最低なスヒョンはこのまま未来を連れ去ってしまえたらと思う。綺麗な恋しか知らない未来を汚してみたい、最後まで自分勝手だ。

「寂しい……」

スヒョンではなく未来が言った。笑っていたはずのその目からは、綺麗な涙がこぼれていく。

「友達が遠くへ行って、離れ離れになるのは、覚悟できてたはずなのに寂しい……」

自分のために今、未来は泣いてくれている。スヒョンの胸に幸せがあふれ、高鳴っていく。未来を抱き締めてしまいたい、そう願っても未来にとってスヒョンはただの友達だ。

「未来、最後にお別れを言わせて」

胸の痛みを抑え、スヒョンは微笑む。最低なこの恋だけど、最愛の人に最後はきちんと気持ちを伝えて終わりにしたい。スヒョンは目に涙を浮かべ、口を開く。

「日本に来た頃、僕に声をかけてくれてありがとう。未来が友達になってくれたおかげで、楽しい毎日だったよ。……愛してた」

未来が驚いている隙にスヒョンはクルリと背を向け、走り出す。目から涙がこぼれていった。

スヒョンの恋はこうして終わった。
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