運命が変えた一夜 ～年上シェフの甘い溺愛～

タクシーの扉があくのと同時にレストランの扉があいた。

そこからはラフな白いシャツに黒のパンツ姿の悟が出て来た。

柔らかな、あたたかな、穏やかな微笑みを綾乃に向けながら近づいてくる。


「ありがとうございました」とタクシーの運転手に声をかけて、綾乃が後部座席から立ち上がるのに手を差し出す。
綾乃は迷わずにその大きな手を握る。

悟は綾乃の手をギュッと握りながらタクシーの扉を閉めて、「おかえり」と綾乃に告げる。

「おまじないっ・・・効果絶大・・・でした・・・」
悟の顔を見たら張り詰めていた心が急に緩んで、綾乃の瞳から次々に涙があふれ出した。
伝えたい言葉はたくさんあるのに、涙で言葉に詰まる。

そんな綾乃に「よく頑張ったな。頑張った。」と悟は微笑みながら頭を撫でた。