運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
そう不思議と思えた。


「体調は?」
少しして、悟は綾乃を抱きしめたまま耳元でささやく。
ちゃんと左耳側でささやいてくれる悟に綾乃は、ふっと微笑んだ。

どこまでも悟は自分を考えてくれている。
想いが伝わってくる。

温かなぬくもりと共に。

「・・・疲れました・・・」
「うん。お疲れ。よく頑張ったな。」
「・・・最近・・・」
「うん。」
「・・・全然お腹すかなくて・・・」
「うん。」
事実だ。最近、胃が小さくなったこともある。でもそれ以上に空腹を感じず、義務的に何かを口にしていた。体を動かすために必要なエネルギーをただ口から補給しているだけという状態だった。
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