運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
「ゆっくりでいい。時間はたっぷりあるからさ」
焦らせずに、綾乃の涙を拭い続ける悟。

「でもお腹・・・すいた・・・」
「ははっ、忙しいな。」
二人で笑いあう。

悟はどこまでも優しく綾乃を見つめていた。
泣き続ける綾乃の涙をナプキンで拭ったり、その頭や髪を撫でる。

綾乃は涙を拭ってもらいながら、少しずつクラムチャウダーを口にした。

いつだって悟の作る料理は温かく、少し懐かしく、全身にしみわたるような味。

久しぶりに感じる空腹が心地よくて、綾乃は一口一口大切に味わう。
< 109 / 349 >

この作品をシェア

pagetop