運命が変えた一夜 ～年上シェフの甘い溺愛～

悟は自分の料理人としての人生を綾乃に話した。
父のことも。レストランを作った時の自分のこだわりも。

綾乃は悟がお客さんとのコミュニケーションを大切にしていることを改めて知った。
一時でもお客さんと悟との関わりにやきもちをやいてしまった自分を恥じる。

「俺、来週誕生日なんだ。」
悟の言葉で綾乃は「いつですか？」と身を乗り出して聞いた。
クラムチャウダーを食べ終えた綾乃に、悟がデザートのプリンを渡している時だった。
「来週の水曜日。」
少し、金曜であることを期待していた綾乃。
「あっ、今金曜じゃないんだって思っただろ？」
とすかさず悟が笑う。

「少し・・・思いました。」
どんな話でも綾乃は悟の前では素直に話せる。

大人だからとか建て前とか、関係なくありのままの気持ちを言葉にする。

悟も同じように、ありのままの素直な言葉を伝えてくれていると思えた。