運命が変えた一夜　～年上シェフの甘い溺愛～
洗面台の鏡に自分を映しながら孤独に包まれ、未来に希望を持てず、一日一日を生きることに必死だった自分を思いだす。それだけで今も胸がギュッと締め付けられる。
今ある幸せも、満たされた時間も、あたりまえの物ではないといつも思う。

だからこそ、悟という存在に感謝をしなくてはと言い聞かせる。
そして、悟が自分にしてくれているように、何か悟にできることを自分なりにしようと決めている。

お気に入りのスキンケアグッズから、肌の状態に合わせて今日使うものを選ぶ。

最近、きちんとした食生活を送れているからか、肌の調子もいい。

支度を整え終えると、綾乃は空腹を感じながら悟の部屋に戻る。
付き合い始めてからちゃんとお腹がすくようになった。

玄関のチャイムを鳴らしてから、預かっているカードキーを使って部屋に入る。
「おじゃまします」
「おかえり」
綾乃の言葉に悟が寝室から顔を出す。
料理を終えて悟も仕事用の服に着替えたところらしい。
< 172 / 349 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop