運命が変えた一夜　～年上シェフの甘い溺愛～
綾乃はエコーがしやすいように、黒のウエストに余裕のあるパンツに白のロング丈のシャツというラフな格好。
どちらが合わせたわけではないのに、悟も黒のパンツに白のシャツで、ペアルックのようになってしまった。

「行こうか」
「うん」
在宅ワークに切り替えてから綾乃の耳の調子もいい日が増えた。
耳鳴りがないだけでも随分と体も楽だ。
聴力は戻っていなくても、悩まされていた頭痛に苦しむ日も減った。

手をつなぎながらマンションのエレベーターに乗り、駐車場に向かう。
悟は前もって車のエアコンをきかせてくれていた。

すっかり季節は春から夏にかわろうとしている。

「お腹は冷えないように」
悟の車には綾乃用にクッションやブランケットが常に用意してあった。
助手席は綾乃の特等席だ。
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