運命が変えた一夜　～年上シェフの甘い溺愛～
「薄井さん」
名前を呼ばれて立ち上がる綾乃。

まだ入籍していない綾乃は薄井で呼ばれる。
もうすぐその呼ばれ方が変わるかもしれないと思いながらいつも、聞いていた。

たとえ結婚をしていなくても、悟も一緒に診察室に入ることができる。

前もって病院には今の関係を説明していた。

何かがあった時、連絡をする場所を記入する母子手帳のページには悟が自分で、自分の携帯電話の番号とレストランの番号を記入していた。

診察室に入りまずは、医師に体調を伝える。
血圧を測ったり、前もって行った尿検査の結果を聞いてからエコーになる。

「つわりはどうですか？」
「ずいぶん楽になりました。」
「水分はとれてる？」
「はい。」
「ほかに気になることはある？」
「・・・とくには」
医師の言葉に返していく綾乃の言葉を悟も頷きながら聴いている。
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