運命が変えた一夜 ～年上シェフの甘い溺愛～

朝から嫌な夢をみたからだろうか

それとも雪のせい

それとも仕事がうまくいかなかったせい


それとも・・・


理由はわからない。
でも綾乃は自分でも驚くほど自然とその手を握り返していた。

筋張った手は少し乾燥していてがさがさしている。
綾乃の手を簡単に包み込んでしまう大きな手に力強く引かれて綾乃は立ち上がる。

悟は落ちている綾乃のヒールとバックを拾い、ひょいっと綾乃の体を抱き上げた。
「これは人命救助なので、我慢してください。」
お姫様抱っこされて、視線が悟と同じになった綾乃は、至近距離で悟にそう言われて思わず笑った。