運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
綾乃に気をつかわせないようにと言う悟なりの配慮だと綾乃は知っていた。

洗濯物を干しながら綾乃は言いようのない幸せを感じる。

シャツを着ることが多い悟。
誕生日に綾乃がプレゼントしたシャツをヘビーローテーションしている。

シャツのしわを伸ばしながら、まぶしい太陽に目を細める。


ふと手を止めて空を見上げた。

この場所からは空が近く見える。

きっとどこかにいる悟と自分の赤ちゃん。
ちゃんと守ることができなかった赤ちゃん。

その命の分もちゃんと前が向けるように、逃げないと決めている。

ちゃんと前に進むために、まずは自分自身と向き合わなければと綾乃は思っている。
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