運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
そう言えば今夜はチーズフォンデュだと言っていた悟の言葉を思いだした綾乃は掃除を終えるとキッチンへ向かった。

チーズフォンデュ用の鍋も、二人で楽しめるようにと悟が購入した。

この前のアヒージョも絶品だったと思いだしながらその鍋を出そうとしたとき、『ガシャーンッ!』棚から出すときに、派手に箱を落としてしまった。


割れた鍋を見つめて、時が止まったように立ち尽くす綾乃。



こういう時、まだ心が完全に回復できていないことを、綾乃は実感する。

突然震えだす体。
震える心。

しばらく綾乃は立ち尽くして、動くことができなかった。
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