運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
そんな時は医師にはできない方法がある。
悟にしかできない方法が。

それは綾乃の気持ちに寄り添い、綾乃の気持ちを代わりに声に出し、受け止めること。
共感すること。

「良かれと思ってやってくれたのに、こんなことになって、つらいよな。」
「うん・・・」
ちゃんと綾乃の気持ちをキャッチできるようになった悟はこうして綾乃の心に寄り添い、綾乃の心の悲鳴を言葉にできる。

「ごめんなさい・・・」
シュンとしたまま謝る綾乃に、悟は少し体を離した。

その瞳からはすでに涙が溢れていた。

綾乃の涙を拭い、目を見る。
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