運命が変えた一夜 ～年上シェフの甘い溺愛～

「動いてる？」
「うーん、今日はあんまり動いてない。」
「そっか。疲れてんのかな。」
ソファに座り、悟は綾乃のお腹にブランケットをかけながらお腹に触れる。
大きな悟の手の上に、自分の手を触れる綾乃。

「ちっさい手」
重ねると、悟の手の大きさと綾乃の手の小ささが目立つ。
悟は綾乃の手を握り、二人の手を重ねるようにお腹に触れた。

「緊張してる？」
「うーん、まだ、実感わかないけど想像するとどきどきはするかな」
「そっか。」
妊娠初期の頃は体調も安定せず、綾乃は焦っていた。
悲しい過去の記憶もよみがえり、赤ちゃんがお腹の中で元気にしているか不安で何度も病院に向かったこともある。
綾乃が少しでも安心できるようにと、悟は自宅で赤ちゃんの心音を聞くことができる機械を買った。