運命が変えた一夜 ～年上シェフの甘い溺愛～

「笑ってる顔もいいじゃん」
「え？」
「今日は涙ばっかりだったからさ。ちょっと安心した。」
「一ノ瀬さんのスープのおかげです。ありがとうございました。あと、このサンダルも。」
「いいえ。こちらこそ、料理人冥利につきます」
改まって頭を下げる綾乃に悟も頭をさげる。

「腹が減ったらさ、いつでも来てよ。」
「え？」
「いつでもいいからさ。閉店してても電気がついてる限り俺いるし。」
「でも」
「遠慮はしないで。俺、本当にうれしかったし。ちゃんとしたの作れないかもしれないけどさ、でも何かあったかいもんなら作れるから。いつだって。」
「・・・」
朝とは全く距離感が違う。
今は隣同士に並んでいるのが不思議だ。

それでも、悟の隣は居心地がいいと思ってしまう。