運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
「あ、連絡先教えてほしいって言ったら嫌われる?」
悟がエレベーターが12階に着く直前に言いだした。
「閉店時間が過ぎちゃったときは連絡くれれば開けておくから」
「・・・そこまで・・・甘えるのは気がひけます。」
「ダメ。じゃないと連絡があるまで何が何でも俺、待つ。」
綾乃は悟の方が上手だとすでに気づいている。

結局12階に到着してすぐにお互いの連絡先を交換して、二人は別れた。

「けが、お大事に。」
「ありがとうございました、本当に。」
「いいんだよ。こうして近づけたのが何より。あんまり無理しすぎないように。」
綾乃の方を指さしながら悟は「自分のこと大切にな」と言って、自分の部屋に入って行った。

今日一日の出来事とは思えないような内容の濃さに、綾乃は帰宅してからもぼーっとして動けなかった。
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