運命が変えた一夜 ～年上シェフの甘い溺愛～

次の日、現実になかなか戻れずにいた綾乃。休日出勤も全く苦にならないくらい、心が満たされていた。

でも忙しい仕事に追われて、いつの間にか余韻に浸る暇すらなく金曜を迎えた。

借りたサンダルも返しに行かないとならない。
御礼の品もネットで用意し、綾乃は準備を整えて出社した。

いつものように山積みの仕事と、思うように減って行かない書類と戦っているときにふと携帯が鳴り綾乃は携帯電話を手にした。チェックした瞬間、ディスプレイに一ノ瀬悟の名前を見て、綾乃は一気にぬくもりを思い出す。

『仕事お疲れ！今夜のおすすめメニューはアサリとしめじの和風パスタとオニオンスープ、サラダは水菜とベーコン！カニクリームコロッケもおすすめです！待ってる！』
かわいらしいブルドックのスタンプもついているメッセージに綾乃はさらに温かなぬくもりを感じた。

思わず緩みそうになる頬を、咳払いでごまかして、何とか閉店時間に間に合わせようと気合を入れなおした。