運命が変えた一夜 ～年上シェフの甘い溺愛～

悟はすぐに綾乃の体を抱き上げて、自分の部屋に入れた。
玄関に座らせて「ちょっと待ってて」と、慌てて部屋に向かう。

さっと適当に着替えを済ませると財布と携帯と車のカギを持つ。
まだまだコートの必要な時期。
悟は寝室のクローゼットから自分の分のコートと、綾乃に着せるダウンのジャケットを持ち、ベッドから毛布を引っ張りはがして再び玄関に向かった。

玄関で蹲っている綾乃にさっと自分のダウンを着せて、その上から毛布で体を包み込む。

「大丈夫だから。大丈夫。ここに来たのは正解だ。大丈夫。」
綾乃にそう言って、少しでも安心できるように微笑みかけると悟はすぐに自分の携帯電話から電話をした。

悟はいたって冷静だった。119番に連絡をして、綾乃の症状を伝えすぐに対応してくれる病院があるかどうかを確認し、近くの病院が診てくれるとわかると、逆に自分が車で患者を病院まで運ぶほうが早いと判断し、自分が病院に連れて行くことと、病院に情報を連絡してほしいと、救急隊員に伝えていた。