愛しても、いいですか

第1章 私のお食事処

ガラッと引き戸を開けると「いらっしゃいませ!」と隼にぃの声。

私を見るなり「何だ沙耶香か」と言う隼にぃに、
「隼にぃ、生一つと串盛り合わせ一つ」とカウンター席に着きながら注文する。

ここはいとこのお兄ちゃん、隼にぃこと榎田 隼(えのきだ しゅん)が営んでいる居酒屋。

カウンター席六席と、テーブル席三席のこじんまりした店で、一見さんよりは常連さんの方が圧倒的に多い。

一人暮らししているマンションから徒歩5分という好立地にあるため、私もかなりの頻度で入り浸っている。

今日は週の真ん中水曜日だからか、テーブル席二席とカウンターの右端が埋まっているだけだ。
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