愛しても、いいですか
お互いの近況報告に地元の友達の話、由紀の話に高校の時の懐かしい話など、6年ぶりの2人の会話は尽きることなくお酒も箸も進む。

時々、さっきのロビーでの大石さんと綺麗な女性の姿が頭にチラついて、それを追い払おうとまた飲む。

慎太郎はお酒に強かった。全然顔色変わんないね、そう言うと、

「営業だし、飲む機会も多いしね」

そう言って笑った。

2時間制だったけれど2時間なんてあっという間で話し足りないのもたぶんお互い様で、時間もまだ20時前で。
だから「この後もう1軒付き合ってくれる?」という慎太郎の誘いに頷いたのは自然の流れだった。

そして連れて行かれたのは1軒目から歩いて7、8分くらいのまたまたお洒落なバーで、重厚な扉を開けると間接照明に照らされたお酒の瓶がキラキラ輝いていた。

慎太郎、こんなお店知ってるなんて、やっぱり大人になったね…

「…沙耶香、さっきからバカにしてる?」

苦笑いの慎太郎。心の声が漏れていたらしい。
< 107 / 184 >

この作品をシェア

pagetop