愛しても、いいですか
いつものように隣の席をポン、とされる。

「楽しかった?」

隣に座ると同時に頬に手が伸びて来て、そっと包まれる。

「…はい」

「…結構飲んだでしょ?」

「昔話に花が咲いちゃって…でもこの前のパーティーの件で反省したのでその時よりは飲んでません」

ふふっと笑ってみせる。

「…その赤くなった可愛い顔、慎太郎に見られちゃったの?」

…え?
大石さんの瞳に切ない色が浮かんで驚く。 

「…告白、された?」

「…えっ」

「…図星?」

「なんで分かるんですか…」

「この前沙耶香ちゃんから卒業式の日、告白する前に振られたって話を聞いた時。…ああ、たぶん彼も沙耶香ちゃんのこと好きだったんだろうなー、って気づいちゃったから」

あれは典型的な、好きな人ほど揶揄いたくなる心理だね、と呟く。

…あの話からどうして慎太郎が私を好きだったって思ったんだろう。
私は今日言われるまで全然気づかなかったのに。
やっぱり大石さんはエスパーみたいだ。
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