愛しても、いいですか
そうして、ふ、と笑えば、瞳に少しの熱を宿して、

「…ねぇ沙耶香ちゃん?今日は俺の部屋で一緒に寝ない?何もしないから。ただ一緒に眠るだけ」

と誘われる。

「最近忙し過ぎてよく眠れなくてさ、沙耶香ちゃん抱き締めてたらぐっすり眠れそう」

そう言って今度は茶目っ気たっぷりに笑う。

もし、この提案をされたのが大石さんとまだただの飲み友達だった頃だったら、もしくは同居を始めたばかりの頃だったら、私は間違いなく「寝言は寝てから言ってください」と憎まれ口を叩いていただろう。

でも今はただの飲み友達ではなく期間限定の彼氏で。その期間限定という肩書きが今の私を苦しめているけれど、それでも大好きでたまらない人で。
私で大石さんの睡眠導入剤になれるんだったら喜んで受け入れる。

「…いいですよ。でも、ちゃんと梅茶漬け全部食べて、その後一緒にアイスも食べてからですよ」

と悪戯っぽく微笑めば、うん、と嬉しそうに微笑んで残りの梅茶漬けを啜った。
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