愛しても、いいですか
そこに、慎太郎くんが現れた。
沙耶香ちゃんの、初恋の相手。
卒業式の話を聞いた時、慎太郎くんは沙耶香ちゃんが好きだったのだろうとすぐに分かった。
その彼との再会。
彼が行動を起こせばあの時始まらなかった恋が始まってしまうんじゃないか、とても不安だった。

だから会社のロビーで2人を見た時、嫉妬でおかしくなりそうだった。
もう、帰って来ないかもしれない、そう覚悟した。
でも沙耶香ちゃんはちゃんと俺の元に帰って来て、梅茶漬けを作ってくれて。
たまらなく愛おしくて抱き締めた。
抱き締めるだけじゃ足りなくて、一緒に寝よう、そう誘った。

そっと抱き締めた沙耶香ちゃんは、細くて儚くてふわふわで壊れそうで。愛おしさが募る。
シャンプーのいい香りを漂わせて無防備に抱き締められている沙耶香ちゃんに理性が飛びそうになったが、ぐっと堪えた。
沙耶香ちゃんに手を出すのは、期間限定の肩書きが取れた時。
俺が、本当の彼氏になれた時。そう決めた。
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