愛しても、いいですか
トランクにスーツケースを乗せ、助手席のドアを開けてどうぞ、とレディファーストしてくれる。何をやっても様になるな。
ありがとうございます、と乗り込み、シートベルトを閉める。大石さんも乗り込み、車が静かに発進する。
さすが高級車、実家の車とは比べものにならないくらい乗り心地がいい。実家の車と比べるのも恐れ多いけれど…

「それで、どこに行くんですか?」

LINEでは教えてもらえなかったから改めて聞いてみる。

「着いてからのお楽しみ」

悪戯っ子のように笑って、結局教えてもらえなかった。

もう諦めて大人しく乗っていると、30分程して地下駐車場みたいな所に入った。そして着いたよ、と微笑まれる。

ここはどこだろう。何かすごいタワーマンションの地下駐車場のようだったけど…
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