愛しても、いいですか
家政婦さんがいると思っていなかった私は少しびっくりする。

「坊っちゃん、お帰りなさいませ。ちょうどお昼ご飯が出来た所ですよ」

「ただいま。いつもありがとう。この子が話していた沙耶香ちゃん。今日から一緒に住むからよろしくね」

私の頭にぽん、と手を乗せて林さんに紹介してくれる。

「よ、よろしくお願いします…!」

慌ててペコリとお辞儀すれば、

「こちらこそよろしくお願いしますね、沙耶香さん」

目尻に笑い皺を作りながら優しく微笑む林さん。

優しそうな人でホッとする。

「今日のお夕飯と、作り置きのおかずもいくつか冷蔵庫に入れてますので、その都度温めて食べて下さいね」

ありがとう、大石さんがそう言うと、それでは今日は私はこれで、とエプロンを外して畳み、帰り支度を済ませて帰っていった。

じゃあ、食べようか、向かい合って座り、いただきます、と手を合わせる。
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