愛しても、いいですか
ふ、と仄かな気配を顔に感じて薄っすらと目を開けた。
すると目の前にぼんやり大石さんの顔が見えて来て、一気に覚醒する。

「…わっ!」

「…おはよ」

オレンジ色の夕日を背に、にっこり蕩けそうな顔で微笑む大石さん。
寝起きの心臓に悪い顔だ…
どうやら大石さんにもたれて眠ってしまっていたらしい。

「…す、すいません、寝てしまって…」

そう謝ると、

「先に寝ちゃったのは俺だから。それに可愛い寝顔を拝めたからね」

そうして悪戯っぽく笑う。

かぁ、と顔が赤くなる。

「…沙耶香ちゃん、顔に出るようになってきたね。良い傾向だね」

そうやって目を細める。

ドクドク、と心臓が波打つ。
私は彼の前では素直に感情を表に出せるらしい…

それがどういうことなのか、今はまだ分からない振りをしたー
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