愛しても、いいですか
これからどうしようか…

そんなことを考えていると、かちゃ、と鍵の開く音がする。

パタパタパタ、と急いで玄関まで駆け寄ってお帰りなさい、と言えば大石さんは目を見開いて驚いた後、顔を綻ばせてただいま、と答えてくれる。

「…お帰りっていいね。何か今、グッと来た」

照れたように微笑む大石さん。

「ご飯はもう食べた?」

「はい。大石さんは?」

「うん、今日は会食があったから外で食べて来た」

でも、デザートは沙耶香ちゃんと一緒に食べたかったからコンビニでアイス買った来た、そう言って手に持っていたレジ袋を持ち上げてにっ、と笑う大石さんに、私の胸はいとも簡単にときめく。

着替えてくるからちょっと待っててね、とそのままリビングの奥の寝室に入り、1分もしないうちにネイビーのTシャツにブラックのスウェットというシンプルな出立ちで戻って来た。
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