愛しても、いいですか
慌ててフォローすると、

「…うん、でもごめん」

困ったように笑う慎太郎に、らしくない、と喝を入れる。

「…だなっ。沙耶香連絡先変わってない?今度、飯誘ってもいい?」

「うん、変わってないよ。ご飯、行こう」

良かった、とほっとしたように笑う慎太郎を見て、もうずっと忘れかけていた高校の卒業式の日を思い出す。





ー慎太郎は高校3年間ずっと同じクラスで、仲の良いグループ中の1人だった。私のことを可愛げがない、ノッポ、とよく弄って来て、憎まれ口を叩いているうちにいつの間にか好きになっていた。
でも慎太郎に女として見られていない自覚はあって、ずっと告白は出来なかった。友達として側にいることを選んだ。
だけど卒業式の日、地元の大学に進学する慎太郎と東京の大学に進学する私、もう簡単には会えなくなるんだと気づいたら、チャンスはもう今日しかない、告白するしかない、そう思った。
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