愛しても、いいですか
卒業式の後、定番だけど屋上に呼び出して告白しようとした。でもなかなか告白の言葉を言えずに他愛のない話をしている時、

「沙耶香みたいな可愛げのない女、彼女にしてくれる奴いるのかよ」

慎太郎が、突然そう言った。頭が真っ白になった。それで完全に心が折れた。もう言えない。そんなこと言われたら、振られるのは目に見えているじゃないか…
涙が溢れそうになるのを必死に堪えて、

「…いないかもねっそんな人っ」

何とかそれだけ絞り出すと、慎太郎にくるっと背を向けて一目散に屋上を後にしたー





…苦い思い出だ。これが可愛げのない私の最初の失恋。

まさか、可愛げのない私の2度目の失恋相手の婚約パーティーで慎太郎に再会してこんな昔のことを思い出すなんて、一体何の因果だろう。

慎太郎と別れて会場に戻る。
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