愛しても、いいですか
1人で大丈夫だから、由紀も酔っ払ってるんだから気を付けて帰ってね、と会場で別れて、最寄駅に向かった。

『何者なんですか』

私が大石さんにそう聞いた時、ある時は笑ってはぐらかされ、ある時はそのうちわかるよ、と言われ…

…大石さんは、私がGOベッドの社員だと、知っていたのだろうか。
私の勤め先を言ったことは無いと思う。
ただの飲み友達だった時も、一緒に暮らすようになってからも。
車で送ってもらった時も、会社の手前で降ろしてもらった。
うちの会社がある辺りにはいくつか会社が集まっているから勤め先は特定されてはいなかったはず…

大石さんは只者じゃないと思っていた。
乗っていた車も、住んでいた家も、ブランドショップで何着も服を買えてしまうようなカードを持っていたことも…
今日、全てのピースが繋がった。

すると最寄駅に向かう途中の人通りの少ない歩道橋で、30代くらいのスーツ姿の酔っ払い2人組に絡まれた。

「ねぇねぇお姉さん綺麗だね。そんなお洒落して、何処行ってたの?俺たちこれから2軒目に行くんだけど、良かったら一緒にどう?」

そう言ってニヤニヤ笑いながら手を引っ張られる。
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