愛しても、いいですか
そんな大事な仕事を放ってまで探しに来てくれたんだ…

申し訳ないやら、嬉しいやら、私の心の中は最近いろんな気持ちがせめぎ合っていて忙しい。

「愛されてるね、沙耶香」

そう言って目を細めて優しく微笑む。

「…愛されてる、のかな」

「うん、私はそう思うよ?」

にこっと可愛く笑う由紀。

その言葉に、大学の授業で古代ギリシャでは4つの愛の種類が存在したと話していた先生を思い出す。

由紀の言う私に対する大石さんの愛は、その4つのうち、私のそれと同じ種類のものなのだろうか。
それとも、別の種類のものだろうか…

思わず眉間に皺が寄る。

「…沙耶香、何か難しく考えてるでしょ。顔に出てる。もっと単純に考えていいと思うよ!」

っていうか思ってることが顔に出るようになるなんて、やっぱり大石さんのおかげだね、そう言って私の親友は面白そうに笑った。


ーパスタを食べながら、いつもお昼休憩の1時間じゃ話し足りない他愛もないことをひたすら話す。
デザートまでしっかり完食して、駅ビルで少し買い物をしてから17時前には解散した。

家に寄って行くか聞いたら、お邪魔虫は退散しまーす、と楽しそうに笑って帰って行った。
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