繋いだ手
「…それ巻いてろ!」
「武…
あ、でも、家まで後少しだからへーきへーき!」
武の行動に気恥ずかしさからついそんな事を言ってしまう。
「いいから!体冷えんだろ、黙って巻いとけ」
武は私の手から強引にマフラーを取り首に巻いてくれた。温かくて…武の匂いがする。
「あ…ありがと。」
「ったく、お前が居ると世話が焼けるぜ。」
そう言いながら、武は私の手を取りしっかり握ると歩き出した。相変わらず歩くのが早くて顔が見えない。
優しくて温かい手に冷えた体が温まってくる。
「ちょっ、速いよ武」
「ばーか、この方が早く体があったまんだろ」
一瞬見えた武の顔はほんのり赤くて、少し微笑んでるように見えた。